「仕組みが変わって電話&インターネットが安くなる」という電話

先日珍しく自宅の電話に出たところ(普段は妙な営業ばかりなので出ないのです…)、「NTTの方でフレッツ光の仕組みが変わりまして、電話料金がお安くなりましたのでそのお知らせのご連絡です」と語り始める女性からでした。

「NTTの代理店の方?」と聞くと「いえいえ、私どもはNTTの代理店ではありません。代理店からの営業の電話多いですか?」などと言います。
さてはNTTでは代理店をとれないような回線営業の会社だな…と思いながら、しばし様子をうかがう事にしました。

こちゃこちゃ何やら話をしていますが、まとめると「フレッツ光の仕組みが変わって、プロバイダが必要なくなったので電話料金とインターネットの料金合せて安くなりますよ」との事。しかも「契約の変更や、プロバイダの変更をしてくださいという事ではありません」と言うのです。

インターネットの仕組みを知っている人なら「そんなわけないでしょ!」と大声で叫ぶほどの嘘ですが、わからない人は騙されてしまうかもしれません。

「今、プロバイダさんはどちらをお使いですか? OCNさんでしょうか? Yahooさんですか?」と聞くので「さー、良くわかりませんが…」ととぼけてみると「多分、今現在フレッツ光の料金が5,700円、プロバイダさんが1,200円ほど、合計するとだいたい皆さん7,000~8,000円のご料金のはずなんですね、でもこれがプロバイダ料金がいらなくなりましたので5,200円+500円でお使いいただけるので、かなりお安くなるお話なんです」との事。
6,900円を7,000~8,000円というのも結構強引な話ですね、と思いつつ、さらに話を聞いていると「今のプロバイダが○○さんや××さんだとメールアドレスが変わってしまうのですが、それ以外であればメールアドレスの変更も必要ないですし、ご迷惑になることは一切無いはずなのでお話進めさせていただいてよろしいでしょうか?」と言ってきます。

いやいや、良くないですよ、まだ私には聞きたい事が沢山ありますから。。。と言う事で、一番聞いてみたいところを突っ込んでみます。

「プロバイダがいらないって、どういう事ですか?」

すると先方が話だしたのが、「回線の大元のところにプロバイダの役割をするものを挟むのでプロバイダが要らなくなった」とのなんともファンタジーな回答でした。

うーーーん。。。。ひどすぎる。

というわけで、かぶっていた猫を脱ぎ捨てて、技術的にがっつり突っ込み始めると、「ルーターにプロバイダの認証情報を書き込んだものをお送りして接続してもらうので、お客様に作業が発生しないという意味で【プロバイダが要らなくなった】という言葉を使っている」と言い訳を始めました。

「それは明らかに嘘ですよね? 嘘を言って営業していると認めますか?」と尋ねても「私どもはお客様のようにインターネットの知識をお持ちの方だけではなく、どなたにでもご理解いただけるように説明する事を使命と思っていて、そう言った方が一般的にご理解いただきやすいので私の説明は嘘ではありません。お客様にはご理解いただけなかったようですが、それは私の説明力の不足です」と言い張っていました。

代理店の件について確認すると、「Freebitの代理店です」との事。やっぱり。そしてもちろん、契約変更が無いというのも嘘です。変更後のプロバイダはGMOになるそうです。はっきり言って話している事のほとんどが嘘なので、これが本当か嘘かもわかりませんが…。

電話による回線営業の問題点

ちなみに「メールアドレスは変更にならないのでご迷惑をおかけする事はありません」というのも後半が嘘で、プロバイダを解約しても同じメールアドレス(プロバイダ提供のもの)を使い続けるためには基本的に別途費用が必要になります。変更後のプロバイダが安い理由の一つにメールアドレスを提供していないというのもありますので注意が必要です。

回線自体が変更になるような営業の場合はさらに注意が必要です。今フレッツ光を利用されている方で「リモートサポート(月額500円)」をご契約の方は何でも何度でもサポートを受けられる事になっていますが、もしもフレッツを解約してしまうと、もちろんこれは利用できなくなります。他のプロバイダ等でも同じようなサポートをしている場合もありますが、新規加入回線またはプロバイダにこのサービスが無いと、「パソコンの事ならなんでも」尋ねられていた窓口が無くなってしまいます。それを営業に尋ねると「加入前の相談窓口では『回線や接続の事以外はお答えできません』と言うかもしれないですが、それは建前で実際加入してしまえばサポートセンターでどんな事でも教えてもらえますから」と言われた方の話も聞いています。

もちろん、オプション(メールアドレスを使い続ける・セキュリティ等)で発生した料金を含めれば結果的に安くならない場合も多いですし、多少安くなったとしてもサービスは低下し、しかも解約に縛りがかかってしまって最後には高くなるなど、一般のユーザーさんが使うには適さない回線・プロバイダに加入させられてしまう事になります。もちろん、解約の手順は煩雑で、それが故に泣く泣く契約を続けている方も沢山見てきました。

キャンペーンでパソコンくれるという事もありますが、それは普通に使えるような物ではありません。「今使っているパソコン、遅くないですか?」と聞いてくる事も多いですが、それよりずっと低スペックなパソコンであることもしばしばなのです。

異論を恐れずに言えば、電話で営業をかけてくる業者さんはほぼ全て、こんな感じのところばかりです。電話営業にいちいち取り合う必要はありません。営業だと思った時点で切ってしまった方が良いです。

詐欺的電話営業を見分ける方法

電話であっても、その話し方には何となく本性が現れるもの。良く聞いていれば言葉の端々に「営業トーク」が透けて見えて、聞いているこちらが嫌な気分になるような事があるものなのですが…。

それでもわからない人は以下のワードだけでも覚えておいてください。彼らがよく使う営業トークをいくつか挙げておきます。(全て実例)

  • 「営業の電話、多いですか? ご迷惑おかけしております」と、さも自分は違うかのように言う
  • 「NTT(あるいは他回線会社)の回線はもう古くて新しい技術に対応できなくなっているので、お住いの地域の皆さんには新しい回線に変更していただいています」
  • 「本当だったら私、こんなにお勧めする事は無いんですけれど、このままだとあまりにも○○さんが可哀そうなので…。○○さんのためを思って何度も電話をかけているんですよ!」
  • 「え、お客様、何か勧誘の電話とお間違えではないですか? こちらは代理店や営業の電話ではありませんよ?」
  • 「今、お使いのパソコンが遅いと思うのですけど? ああ、やっぱり。それは回線のせいなので、新しい○○ならびっくりするほど速くなります」
  • 「××までにご契約の方にはパソコン(タブレット)を一台無料で差し上げています」

こんな事を言われたら要注意。すぐに電話を切ってください。もしも話を聞いてしまったとしても、「家族に相談します」「詳しい人に聞いてみます」と言ってみてください。それで向こうが慌てて契約を急がせるような事を言ってきたら、それは間違いなく悪質な営業。振り込め詐欺と同じです。絶対に断りましょう。

そして、この手の営業と契約をしてしまうと、その情報がリスト化されてまた別の業者の手に渡ります。「あの家は電話営業で契約がとれる」リストに載ってしまうのです。そうなったら次々と色んな営業が連絡してくることになります。

 

ITの世界がこういう業者のために「怖いところ」「パソコンやインターネットを使うのは怖い」と思われてしまうのはとても残念な事です。身を守るものは知識です。ITは難しいと思われている方も多いかもしれないですが、ちょっとだけ勉強して知識を身に付けていただければ、ご自身を守る武器になります。このブログが少しでもお役に立てば幸いです。